レバレッジドポートフォリオライト戦略を運用する際の実現損にひるんではいけない理由

レバポライト戦略(レバレッジドポートフォリオライト戦略)は、基本的にインデックス銘柄でポートフォリオを組んで運用するスタイルを、株式ではなくオプションで構成したポートフォリオです。

株式と違って、満期があるオプションを、満期が来ないようにロールオーバーするのがポイントです。

ただし株価が下落した場合、株式の場合は含み損に耐えればよかったものが、オプションを使ってロールオーバーすると実現損が計上されてしまい、目の前に見える損失額に動揺して投資を続けられなくなる危険性があります。

ポートフォリオ運用では、相場が荒れて株価が下がっても気にせずに淡々と運用していくスタイルですから、レバポライト戦略も同様に淡々と運用していかなければベンチマーク通りのリターンを得ることができません。

この記事ではレバポライト戦略実践者さんのコメントを参考にレバポライト戦略の狙いを考察します。

ロールオーバーのタイミングと損益の変動

レバポライト戦略実践者さんから下記のようなコメントをいただきました。

ロールオーバーのタイミングについての感想です。

受講者
受講者

レバポライトの建玉の日々の損益やシミュレーションをしていると、以下の状況が確認できました。
・株価の上下に損益が連動する
・コールを買う日(=ロールオーバーする日)が1日ずれただけでも、ロール時の最終損益が1,000ドルも変わることがある

株価が日足ベースで押し目を作ったあたりでロールすれば、比較的成功する確率が高い事がわかりました。
逆に言えば、株価が下がり基調のときにロールすると、成功確率は減ってしまうと感じました。

いただいたコメントは、実際に投資をするからこそ実感できる考察だと思います。

レバポライト戦略セミナーでも説明したように、この戦略は株ロング戦略の代用に過ぎません。

よって、ロールオーバーの日がずれたとしても、連続性を保てば思惑通りの利益が出ますし、ロールオーバーの時に損が出たとしても、連続性を保てていればその回は安く仕入れられたと判断できます。

今回のエントリーが不利に入っていれば、それだけ次のロールオーバーでは有利に入れている可能性が高まります。

ロールオーバーとは

保有ポジションを手仕舞いをしつつ、連続性を保ちながら限月や権利行使価格を変えて新しいポジションに乗り換えること。ロールとも略される。

サクソバンク証券の「オプション戦略」やIB証券の「ストラテジービルダー」を利用するとロールオーバーを実行することが容易。

1回の損益で一喜一憂してしまう危険性

連続した長い投資の中で含み損益状態を維持しながら最終的にリターンを狙っていくポートフォリオ運用に対して、レバポライトでは実現損益が出るため1回の勝ち負けに一喜一憂してしまいがちです。

株の場合はロールオーバーのタイミングで損益が変わるという感覚は無いと思いますが、満期のあるオプションを使うと必ず確定損益がステートメント上で見えてしまうため、損失が出るとみなさん手を止めてしまう傾向があります。

この戦略は連続性が重要であり、損失が出てしまい止めることはしない戦略です。

うまくいかずにひるんで運用を止めたりスタイルを変えてしまうと、連続性が保たれないため「安く売って、高く買う」ことになりかねません。

そうならないように理屈をしっかりと学び、感情をコントロールして淡々と実行するのがポイントです。

レバポで採用する債券連動型ETFの株価が下落しても損切りしない理由

続いてはレバポ戦略で扱っている債券連動型ETFの価格が下落傾向にあるから、下落目線で利益を出すプット買いを検討されている方からのコメントです。

受講者
受講者

利下げ時期が後ろにズレているせいか、ポートフォリオの一つである債券連動型ETFの株価は下落レンジ内で上下しており、コール買いはずっとパフォーマンスが悪いです。
ロールオーバーする日に恵まれればよいのですが、全体的には下げ基調なので、短期的にプット買で保険を掛けたほうが良いのでしょうか。

ポートフォリオ運用は長期的に見て右肩上がりを狙う

2024年5月だけをピックアップすれば、債券連動型ETFは株価が下落しているためプット買いが良いように見えるかもしれません。

しかしこの戦略で採用しているポートフォリオ運用は長期的に見て右肩上がりになる銘柄を選んでいます。

株式をトレースするレバポライト戦略の立場から考えると、一時的に債券連動型ETFが下げてしまっていても、相場観を入れずに淡々と実行してアメリカ経済の成長に長期投資しているというマインドが必要です。

もちろんこれから相場が振るわず、利上げが続いた2022年のように、今年の結果が軟調で利益が出ない年になるかもしれません。

もし仮に利益が出ない年だったとしても、いずれは株価が回復する可能性が高いと考えれば、ロングポジションでアメリカ経済に投資するのは合理的理由があると考えられます。

そして相場が読めない以上は、インデックス運用でバイアンドホールドする資産運用に妥当性があるという考えのもと、資金を圧縮するレバポライト戦略を行っていることを忘れてはいけません。

短期的な下落を利益に変えるプット買いは必要か

受講者
受講者

レバポにおいて、下げ基調の銘柄をプット買いするのは良くないのでしょうか?

下げ基調にあると確信が持てるのであればプット買いでも問題ありません。

プットを買って株価が下落すれば利益を見込めます。

でも私たちは株価の方向を当てられない立場にあると考えて、長期目線で市況を分析すれば、今後金利が低下して債券連動型ETFは回復するはずだというスタンスです。

今の市況環境と、インデックス投資の王道である株式&債券の組み合わせを採用する意味で債券連動型ETFを買っていますから、利下げが遠のくたびに債券連動型ETFは株価が下がってしまうのには耐えなければいけません。

今はこの銘柄は軟調ですが、金利が低下すればETFの株価は上昇するはずだ、というのが目論見です。

これは相場観というよりも金利と債券価値の関係から見えてくる事実です。

予測できない事態にも適用できる運用を

最近の債券連動型ETFの下落は、今年の初めに2024年は利下げは2,3回ある、という市場予測だったものが、時間が経って「利下げが無いかも?」に変わったことによるものであり、エントリー当時には予期できなかったことです。

このような情報に振り回されると、ベストなタイミングでのエントリーを狙うがあまり、結局エントリーするタイミングを失ってしまいがちです。

従って、当たるか外れるか分からない相場観に振り回されるのではなく、繰り返しになりますが王道のインデックス投資を長期でポートフォリオ運用する目線で、淡々と投資するのが良いと考えています。

株式の場合はバイアンドホールドで含み損益しか発生しないから表面化しにくいですが、今回のレバポライト戦略では小資金化したための代償として毎月決済することで実現損益が発生し、さらにロールオーバーする手間が増えたという発想です。

そして、予測できない事態が起きたときのために、レバポライトで資金を圧縮してキャッシュを潤沢に持っていて、ここぞというタイミングでポジションを積み増すことが出来るのです。

下落してもロスカットしない長期保有の運用

受講者
受講者

債券連動型ETFのチャートが20日平均線を割り込んでしまい、現物であれば損切するところなのですが、オプションの場合も損切を考えた方がよいでしょうか?


レバレッジドポートフォリオのルールでは基本的に損切りはしません。

現物株でポートフォリオを組み長期視点で入れっぱなしの運用をする。

その際に通常現物株を使って構成する代わりにオプションを使っているだけであり、淡々とファンドマネージャーのようにルールに従ってオペレーションしていくだけです。

エントリーやクローズのタイミングを計るようなトレーディングをすると、下がったときに売るのは良くても次のエントリータイミングが分からなくなりがちであり、結果として安く売って高く買ってしまっては、その上昇分を取り損なう恐れがありますし連続性も保てません。

もし仮に株で保有するポートフォリオをお持ちの場合でも、含み損に耐えずに損切りする運用スタイルであれば、オプションでも同じように損切りしてもいいと思います。

ただしこのレバポライト戦略ではバイアンドホールドで淡々と投資する事を前提にしていますから、損切りを行うということは当初の目論見と異なった運用を始めることになる点に注意が必要です。

途中で損切りする際の注意点

もちろんレバポライト戦略の運用はルールとして設けているだけであり、途中で損切りをしたり裁量を入れたトレーディングを否定するものではありません。

ですが、エントリーやクローズのタイミングを計るトレーディングを行う場合は、一度損切りした後にエントリーするまでの期間で株価が上がってしまうと連続性が無くなります。

そのような投資スタイルを採用するのであれば、株式投資による長期保有をトレースするルールのレバポライト戦略とは異なることを覚えておきましょう。

まとめ

レバポライト戦略はインデックス投資の長期ポートフォリオ運用を小資金化するだけであり、運用スタイルはバイアンドホールドのポートフォリオ運用と同一です。

だからオプションのロールオーバーを繰り返して、株式と同様に満期が来ないように手動で対応します。

この戦略は、株式でポートフォリオを組む代わりにコールオプションで代用しているにすぎません。

気を付けたいのは、株式を使用する場合はバイアンドホールドすれば実現損にはならず含み損状態だから耐えられたとしても、レバポライトの場合は満期があるオプションを使っているための連続的なロールオーバーにより、実現損益が目に見えて発生してしまう点です。

従って相場観に振り回されない投資姿勢、含み損益が実現損益に変わることにひるまない投資スタンスで臨む必要があります。

レバポライト戦略を実践した方からはこのようなレバポライトの凄さと怖さを感じたとコメントを紹介します。

受講者
受講者

レバポライトの基本戦略通りのポジションを持っています。
本日朝の見込損益は+1,240ドル(オプション購入価格は約4,800ドル)に達しています。
数日前は+300ドルほどだったため、レバポの凄さと怖さの両方を体感しています。

ポジションサイズに比べて利益率が高いため、利益になるときは大きな額に見えがちです。

でもそれはオプションで圧縮しているだけで、自己資金を圧縮しないカバードコールなどと同等の資金を持っていれば、株式での運用で得られたであろう金額とほぼ一致します。

目先の損益に一喜一憂せず、淡々とロールオーバーをしていく戦略がレバポライト戦略です。

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