VIXトレードの真髄!VIXオプションを使い持続可能で安定的な利益を得る3つの戦略

2024年4月にはS&P500が史上最高値を更新し、それそろ暴落の危険があると構えている方も多いのではないでしょうか。

そこで、暴落局面を切り抜けるために有効な投資戦略を紹介します。

それがVIXを活用したトレードです。

VIXはS&P500が大幅に下落した際のヘッジとして短期的な利益を追求するのが一般的ですが、持続可能で常に投資し続けられるスタンスのVIX戦略があれば効果的だと思いませんか?

VIXには、S&P500が暴落した際には逆相関の関係により利益が出るだけではなく、S&P500が順調に株価上昇しているときもコツコツ利益を積み重ねるポジションを作り出せる可能性があります。

それが以下の戦略です。

  • ①VXXの運用を再現するVIXオプション戦略
  • ②限月間のサヤを取るVIXオプション戦略
  • ③ダイナミックにポジションを入れ替えるVIXオプション戦略

この記事では持続可能な2つのVIX戦略の考え方を紹介しますので、投資戦略の構築に活用してください。

安く買って高く売るVIX先物のチャンスは数年に1度しかない

VIX指数とは、S&P500のオプションから作られた指数であり、いわゆる「恐怖指数」と呼ばれます。

S&P500が下落するとVIXが上昇する性質があります。

S&P500が下落した際にはVIX指数が上昇するという、逆相関の関係です。

ただしVIX指数そのものは取引することができないので、VIX先物やVIXオプションを使って利益を追求します。

下図はS&P500とVIXのチャートを比較しています。

上の黒いチャートがS&P500で、下のローソク足の緑と赤で表されているのがVIX指数の日足チャートです。

<trading view提供チャート>

赤と青の水平線で示したように、VIX指数は下値があり、上値も一定以上上昇すると元に戻る性質があるように見えます。

従って青の水準に達したら安くなっているので買い、赤の水準に達したら高値なので売るという方法なら、利益が出やすいように見えます。

しかし、安く買って高く売るためには、タイミングがとても重要です。

相場を震撼させるショックは年に数回(数年に1回)のタイミングでしか訪れないし、予測することができません。

それと同時に、安値圏に居続けたとしてもショックが起きる保証はないため、数年間1度も吹き上がらずに投資資金を無駄にする可能性もあります。

そのようなタイミングをじっくり待つのではなく、もっと機械的に、継続的に利益を積み上げるトレードをしたいと思いませんか?

そのような投資スタイルを検討するにあたって、VIX先物から派生したVXXというETNの運用方針を参考にしたり、異限月間のカレンダースプレッドを検討することで目指す投資スタイルが見えてくるかもしれません。

①VXXの運用を再現するVIXオプション戦略の考え方

VXXとは、米国市場に上場されているETNの名称です。

いつ起きるか分からないS&P500の暴落の際にヘッジとして利用できるようにするためには、先物の満期が来ないように運用方針を定める必要があります。

VXXの運用方針は、満期が来ないようにVIX先物の第1限月を、時の経過に伴い第2限月に少しずつ乗り換えます。

つまり買い持ちしているVIX先物の第1限月を売却し、VIX先物第2限月を買うことで徐々に先物の構成比率を変えます。

ただしこのやり方ではVXXは必ず値段が下がります。

なぜなら、VIX先物の価格はほとんどの期間で先物第1限月よりも先物第2限月のほうが高いからです。

下図は2024年4月5日時点の先物の価格を並べたグラフです。

グラフの見方

横軸にVIX先物の満期、縦軸にVIX先物の値をプロットして曲線で滑らかにつないだグラフです。

<VIX central提供チャート>

先物第1限月は16.077で、第2限月が16.514となっています。

この時に安い先物第1限月を売却して、高い第2限月を買うため、「安値で売って高値で買う」行為を繰り返しています。

この問題点を示しているのが下図のVXX株価チャートです。

<trading view提供チャート>

現在(2024年4月8日)の株価14.26ドルを基準に過去の価格を算出すると、2012年は200,000ドルを超える計算となります。

実際は株式併合を行っているため、常に10ドル~40ドル付近に株価があるのですが、株式併合を行うことで値下がりしていく株価を食い止めて、株価が一定の額を割らないようにしています。

上記チャートでは下落の様子が分かりにくいので、対数グラフにすると減価率を視覚的に見ることができます。

下図のように、ほとんどの期間下落し続けていることが分かります。

<trading view提供チャート>

常に減価するのがVXXの運命なので、このVXXショートポジションで組めれば安定的に利益を取れるのではないかと考えられますよね。

VXXショートポジションの2つの課題

しかしVXXショートポジションには問題点が2つあります。

課題1:たまに起きるスパイクで利益を吹き飛ばす

下図の事例はコロナショックの事例です。

2月20日に216ドルであった株価が、最大で3月18日の1,260ドルまで上昇しました。

(この数値は現在(2024年4月8日)の株価14.26ドルを基準に過去の価格を算出した数値です)

約5.8倍も上昇しました。

<trading view提供チャート>

もし10,000ドルをVXXショートポジションで運用していたすると、一時的には約48,000ドルを超す含み損が出ました。

(その時必要な資金量は58,000ドルの証拠金が必要となり、合計で必要資金が10万ドルを超えると考えられます)

投下資金の数倍の損失を被る危険性があるため、スパイク時の損失を限定的にしなければ安心してVXXショートポジションを取ることができません。

課題2:VXXのショートポジションを持てる国内証券会社が無い

もう1つはVXXのショートポジションを持てる国内証券会社が無いという点です。

現在国内の証券会社ではVIX関連のETF/ETNの取引は行えず、トレード対象とすることができない問題があります。

そこで考えたいのが、VIX先物を使ってVXXと同じポジションを自家製で作りあげる発想です。

VXXの運用方針を読み解けば、先物第1限月と先物第2限月を使ってVXXを作り出していることが分かりますから、それを模倣して自分で作り出せばいいのです。

ですがVXXを構成するVIX先物についても、国内証券会社で取引できないため、VXXを作ることができません。

解決法はVIXオプション

この2つの課題を解決するのがVIXオプションです。

VIXオプションを使えば、VXXショートと同じような運用をすることができます。

しかもVIXオプションを使うことでスパイクが来ても損失限定で安全性を高めつつ継続的に投資することができます。

VXXの減価による利益を取り出しつつ、かつVIXが急騰した時に損失限定になるのはどのオプションを使えばいいかを検討することで最適解を導くことができます。

日々リターンが安定的に出るため、その資金でVIX急騰時のためのヘッジとして安いVIXオプションを買っておけば、このVIXオプションから大きな利益を出せる可能性が高まります。

このような利益を出すための戦略を解説したVIXオプションセミナーを開催しました。

②限月間のサヤを取るVIXオプション戦略の考え方

VIXは時間が経つと、通常期は第1限月と第2限月の差が開く方向に働きます。

2024年5月17日のVIXタームストラクチャーです。

先物第1限月が19.982、第2限月が21.742、差は1.76でした。

<VIX central提供チャート>

時が経過して第1限月の満期近い2024年6月20日には、第1限月が14.025、第2限月が16.525と差が2.50に広がりました。

<VIX central提供チャート>

このように、時間が経過すると、先物第1限月が先物第2限月よりも下落量が大きく、価格差が開く傾向にあります。

この差を利用して利益を上げる戦略がVIX先物カレンダー戦略です。

今回の事例では、差が1.76から2.50に開いたので、第1限月を売って第2限月を買うことで0.74のサヤの拡大を利益にすることができます。

通常期は先物第1限月のほうが減価スピードが早いため、相場観を入れずに淡々と入れずにトレードする方法として、このような限月間の先物を利用する戦略です。

VIX先物カレンダー戦略の課題

VIX先物カレンダー戦略の課題は、VXXと同様に2つあります。

課題1:VXX同様たまに起きるスパイクで利益を吹き飛ばす

例えば2020年のコロナショックでVIX先物がスパイクした場面では、このようなタームストラクチャーになりました。

<VIX central提供チャート>

通常期は先ほどの事例で1~3ポイント程度であった第1限月と第2限月の差が、今回は-10.55と、逆ザヤの状態になってしまいました。

この状態では先物第1限月の損失の方が先物第2限月の利益を上回り、トータルで損失となります。

先物第1限月が第2限月を上回ることは市場が荒れているサインであり、頻繁には起こりませんが、もし実現してしまった場合にはこれまでコツコツ積み上げてきた利益を吹き飛ばしてしまう可能性があります。

課題2:VIX先物を買える国内証券会社が無い

VXX同様に、VIX先物も国内証券会社で取引できる証券会社がありません。

よってVIX先物カレンダー戦略を取ろうとしても、 VIX先物を取引ができないので絵に描いた餅になってしまいます。

課題を解決するVIXオプション

ではどうしたらいいか。

この2つの課題を解決するのもVIXオプションです。

VIXオプションを使えば、VIX先物と同じ値動きを作り出すことができ、しかもスパイクが来ても損失限定にすることが可能です。

このカレンダー戦略の場合は、平常時にはコツコツ利益を上げつつ、先物第1限月を損失限定にしておくことでVIXが急騰した際には大きな利益が出る余地があります。

①のVXX複製戦略では、余剰資金でVIXオプションを買うことで相場急変時に利益を上げる可能性があることを説明しましたが、このVIX先物カレンダー戦略をオプションで組成すれば、この本体のポジション自体で大きな利益を狙うことができます。

この使い方を解説するセミナーを開催しました。

③ダイナミックにポジションを入れ替えるVIXオプション戦略

VIX先物のカレンダースプレッド戦略の応用で、カレンダースプレッドとリバースカレンダースプレッドを相場状況に合わせてダイナミックに切り替えていく戦略があります。

第1限月と第2限月の差が開く方向ではカレンダースプレッドを組み、第1限月と第2限月の差が閉じる方向ではリバースカレンダースプレッドを組みます。
このように市場に合わせてダイナミックに戦略を入れ替えることで安定した利益を目指す方法があります。

そのタイミングはこのようなチャートを用いて判断します。

この戦略はタイミングの出現頻度は少なく年間の取引回数は少ないものの、有利なタイミングの時だけエントリーできるので、安定運用が可能です。

こちらもVIXオプション戦略解説セミナーでは講義しました。

サテライト戦略としてVIX戦略を組み込むメリット

以上のように、VIXオプションを利用することで、利益を狙いながら万が一の市場クラッシュ時には利益を出せる可能性があることが分かりました。

運用するポートフォリオのコア部分は堅牢性を高めた運用をして、VIXのようなサテライトがコア資産を守れば株式ポートフォリオのリスクヘッジになります。

従って、ポートフォリオを組んだ際のサテライト戦略としてこのVIXを使った戦略も相性がよくお勧めです。

オプショントレード普及協会的、コア戦略とサテライト戦略の位置づけとVIXオプションとの関係性について動画を収録していますのでこちらもご覧ください。

まとめ

・VXXは常に減価していくメカニズムなので、VXXショートポジションをVIXオプションで作りだすことで安定的に利益が出る可能性が高まります。

・VIX先物カレンダースプレッド戦略も通常期は限月間のサヤが広がる性質を利用すれば利益が出やすいため、VIXオプションを使うことで通常期にはコツコツ利益を出しつつVIX急騰時にも大きな利益を出せる可能性があります。

本体のコア戦略はロング目線のポートフォリオになることが多いため、ヘッジとして機能するVIXオプションと合わせて戦略を身に付けることで、資産形成効果も最大限に生かせるでしょう。

以上の3つの戦略を解説しました。

どちらもオプションの買いで実現できるため、サクソバンク証券でもIB証券でもウィブル証券でも実践可能な戦略です。

もしこの戦略に興味がある場合は、オプショントレード普及協会で有料のセミナーを開催しています。

VIXオプションから大きな利益を出すための戦略を詳しく学びたい方は是非その方法を習得してください。

ブログ記事では書けないもっと詳細で高度な方法をセミナーで公開しました。