投資戦略の有効性を確認するために、バックテストは欠かせません。
バックテストを正確に行い分析をするために欠かせないのが過去のデータですよね。
今回の記事では
- VIX指数
- VIX先物価格
- VIXオプション価格
をどのように入手したらよいかについて解説します。
VIXとは
VIXとは、S&P500のオプション(シンボル:SPX)のボラティリティを表す銘柄です。
S&P500が安定しているとVIXは低いままですが、異変があると数値が上昇し、約20ポイントを超えると市場が身構える警戒ラインと言われます。
これまで有事の際に価格が上昇する性質があり、別名「恐怖指数」と呼ばれます。
下記はVIX指数のチャートですが、2008年のリーマンショックが最もVIXが高くなった水準で、その次に高いのは2020年のコロナショックです。
その間にあるスパイクした時期は2015年のチャイナショックや2018年のVIXショックなど、名だたるショックの際にはVIXが急騰していることがわかります。
このチャートにS&P500の推移を重ねました。下図にオレンジがS&P500の推移です。
S&P500がドローダウンした時にVIXが急騰している様子が分かります。
このVIXオプションを使った戦略もあり、S&P500のヘッジを超えてVIX自体の値動きで利益を狙う戦略も多数研究されています。
①ダイナミックコール買い戦略
②さや滑り取り戦略
③短期さや滑り取り(期近先物売り)
④自家製VXXショート
⑤カレンダースプレッド戦略
これらの戦略を応用し、相場観を排除し機械的に淡々と出来るものとして下記のような戦略もあります。
- ①VXX-VXZ代用によるコンスタントマチュリティ戦略
- ②カレンダースプレッドのコンスタントマチュリティ戦略
- ③ダイナミックカレンダー/リバカレ戦略
VIX指数のデータ入手方法
VIX指数はCBOEで入手可能です。
下図のようにダウンロードできるURLが貼ってあり、無料でダウンロードできます。
Yahoo financeでも取得可能
VIX指数の値動きはYahoo Financeで取得することができます。
下図のように、「^VIX」と入力するとVIX指数が表示されます。
^VIXを表示させてHistorical Dataをクリックすると、過去の4本値を取得できます。
この画面で欲しい期日を選択すればその当時の値が表示され、ダウンロードすることも可能です。
VIX先物のデータ入手方法
続いてVIX先物のデータを取得する方法の解説です。
先物はVIX centralというサイトで当時の価格データを取得することができます。
このサイトの「VIX term Months」のタブでは現在のVIX先物の値が水色でプロットされ、指数は緑の水平な点線で表示されます。
なお「Historical Prices」をクリックすると2007年以降のデータを無料で表示することもでき、リーマンショックにどの程度までVIX先物が上昇したのかが分かるようになっています。
この「Historical Prices」のトップページはリーマンショックの2008年10月16日がデフォルトで表示されています。
CBOEでも入手可能
加工できるようにcsvなどの形式でダウンロードするにはCBOEも参考にしましょう。
Trading viewでの表示方法
検証のためにtrading viewなどでチャート表示させたい場合は、「VX1!」と入力しましょう。
そうするとつなぎ足で過去のVIX先物第1限月の値がチャートで表示されます。
例えば第1限月と第2限月の差を毎日監視して、その開き具合を確認してみれば、開くときと狭まるときがあることがわかります。
このような特性からなにかができないかを探すのも良いですね。
VIXオプションのデータ入手方法
VIXオプションデータはマーケットカメレオンでは取得できないので、CBOEから直接買う必要があります。
上記のようにOption EOD Summaryをクリックして次の画面に移ります。
欲しいデータのシンボルを入力する
画面の右側にシンボル「^vix」を入力して日付を選択するとその指定した日付のデータを購入することができます。
この際に値段は高くなりますが「Calc」を選択すると、引け15分前の15:45時点のデータとその時のIVやグリークスが入手できます。
オプションデータで取得可能な項目は下記のとおりです。
購入サンプルを掲載しました。
calcを選択すると15:45時点のIVやグリークスも取得することができます。
なお、価格は長期になればなるほど割安となります。
試しに2023年のデータを購入し、calcありを選択すると105.77ドルかかります。
CBOE購入データの注意事項
CBOEからデータを購入する際に気を付けたいのが
- データはFTPでサーバに格納されている
- csvファイルは月度でまとめられるのでcsvの扱いに慣れていないと厳しい
この2点です。
FTPサーバーの概念が分からない方は購入してもデータを入手できないので、まずはFTPを学んでから購入しましょう。
また、データの取得単位はdayかmonthしか選択できません。
FTPサーバからダウンロードすると下記のように対称のZipファイルが入手できますが、例えばエクセルで分析する際には大量のcsvファイルを結合する必要があり大変です。
この2点を解決できれば、VIXオプションのバックテスト検証ができます。
VIX先物やVIXオプションを取引できる証券会社
肝心のVIX先物を取引る証券会社とVIXオプションを取引できる国内証券会社は現在のところ下記の4候補のみです。
IBLLC口座は新規申し込みが出来なく、口座開設者は順次IBSJへ移行させられる予定です。
VIX先物 | VIXオプション | |
サクソバンク証券 | × | 〇 |
ウィブル証券 | × | 〇 |
IB証券国内口座(IBSJ) | × | 〇 |
IB証券海外口座(IBLLC) | 〇 | 〇 |
オプション売りができるのがサクソバンク証券です。
VIXオプションで売り買いができるのでお勧めですが、権利行使価格のラインナップが弱いのがネックです。
2024年4月現在で、2024年5月満期ものについてはサクソバンク証券は30ドルまでしかありません。
一方ウィブル証券やIB証券は権利行使価格が180ドルまで揃っています。
高い権利行使価格を選びたい場合はウィブル証券やIB証券を選択することになります。
ただしウィブル証券やIB証券では現在オプション売りが制限されています。(2024年4月現在)
よって取りたい戦略により証券会社を使い分ける必要があります。
まとめ
VIX関連のデータの入手方法についてまとめました。
VIX指数やVIX先物は無料で数値が手に入りますが、VIXオプションに関しては現在のところCBOEからデータを購入する必要があります。
その際にはFTPやcsv結合のスキルが無いとデータを扱うことは難しいので覚えておきましょう。
また、過去データを用いたバックテストの重要性は高いですが、バックテストの結果だけに頼るのではなく、市場環境の変化に応じて戦略を調整する必要がある点に注意しましょう。