このページをご覧になっている方は、すでに私(守屋史章)が提唱している
- アイアンカバードコール戦略(通称:アイアンカバコ)
- レバレッジドポートフォリオ戦略(通称:レバポ)
についてご存じか、あるいはその戦略を解説した弊社セミナーの購入を検討されているかもしれません。
このアイアンカバコとレバポは、「資金を圧縮」できる点が特徴です。
アイアンカバコでは資金の約1/2~1/3を、レバポは約1/4~1/5へと資金を圧縮することができるので、少ない資金でポジションを組むことができます。
「資金の圧縮」の効果としては、一般的にはレバレッジを掛けられる点にフォーカスされがちですが、アイアンカバコとレバポは、リターンを最大化するためにレバレッジを掛けるのではありません。
リターン率を向上させることで期待リターンを従来の戦略と同等程度で狙いつつ、特に小資金化し余裕ができた資金を他の投資に回すことを目的とします。
ではどの投資に資金を振り分ければよいでしょうか?
この記事では、これからポートフォリオを組みたい方向けに、肝心の「資金を圧縮」した後に取りたい戦略を9パターン紹介します。
資産形成・資産運用の指針としてこの記事を繰り返し読むことをお勧めします。
ですが、戦略が多すぎて自分では優先順位を付けて決められない方のために、どのような順番で学べばいいか分かりやすくお伝えする無料メルマガを発行しています。
この記事を読んで選択に迷ったらぜひメルマガを購読してください。
資金を圧縮する方法の比較
アイアンカバコの特徴
例えば6,000ドルの投資で年利10%、600ドルのリターンを得るカバードコールに比べて、同じ株式の銘柄でもおおよそ2,000ドルで年利25%、500ドルのリターンを期待できる方法がアイアンカバコです。
(必ず25%を保証するわけではなく、リターン額も概算です)
利回りが高まりますので、600ドルのリターンを得ようとした場合、カバードコールの場合は6,000ドル必要でも、アイアンカバコの場合はわずか2,400ドルで実現できます。
つまりアイアンカバコは6,000-2,400=3,600ドル分の資金をリスクにさらさずリザーブし「資金を圧縮」することができます。
レバポ(レバレッジドポートフォリオ)の特徴
例えば10万ドルのポートフォリオで利回り10%、1万ドルのリターンを目指す際に、10万ドルの現金を使わずに、わずか2~3万ドルで同じリターン額である1万ドルを得られる方法がレバポです。
このとき通常の株式投資なら10万ドル必要な資金を、オプションを使って2~3万ドルで運用するため、7~8万ドルが使わない資金として「資金を圧縮」することができます。
アイアンカバコとレバポの比較一覧表
この両者の大きな違いとしては、アイアンカバコはインカムゲイン狙いの投資スタイルから生まれた戦略であり、レバポはポートフォリオ運用のキャピタルゲインから生まれた戦略です。
アイアンカバコは個別株やボラティリティが低いETF(ETN)を扱う一方で、レバポはインデックスETFを中心に取引します。
両者の違いを一覧表で整理しました。
アイアンカバコ | レバポ(レバレッジドポートフォリオ) | |
ベースの戦略 | カバードコールの小資金化 | ポートフォリオ運用の小資金化 |
資金の圧縮度 | 約1/2~1/3 | 約1/4~1/5 |
必要資金量 | 約2,000ドル~ | 約10,000ドル~ |
対象銘柄 | 主に個別株やETF | 主にインデックスETF(ETN) |
収益の種類 | インカムゲインの派生 | キャピタルゲイン |
配当 | 無し | 無し |
オプションの種類 | コール買い+コール売り | コール買い |
資金を圧縮した後に検討したいサテライト戦略5選
コア資産であるアイアンカバコやレバポで資金を圧縮できることが分かりました。
では、圧縮して余った資金をどうサテライト戦略に振り分ければよいでしょうか。
まず初めに検討したいのは、キャッシュを債券で運用するという考えです。
リザーブした資金をそのまま置いておくのではなく、換金性の高い短期債券で運用しておけば、市場の暴落時にすぐにキャッシュ化してアイアンカバコやレバポのカバーができます。
ただし、債券が最も分かりやすい運用方法ですが、現在米国株オプションを提供している証券会社では債券を同じ証券会社内で買うことができないため、資金の有効活用という面で検討の余地があるかもしれません。
そこで、オプション口座でリザーブしているキャッシュをそのまま活用できる戦略をこれからご紹介します。
採用する戦略としては、少額資金で取り組めていざというときにコア資産に資金を振り分けられること、また優位性(エッジ)を大数の法則で実現できるような戦略が向いています。
ここではヒントとなるアイデアとして5つの戦略を紹介します。
①VIXタームストラクチャー戦略
VIXタームストラクチャー戦略とは、VIX先物の限月間の特徴を生かして戦う戦略の総称です。
その中でも、VXXとVXZを組み合わせたペアトレードやカレンダースプレッドのように第1限月を売って第2限月を買う方法などがあげられます。
下図がVXXとVXZのペアトレードの資産増加のイメージです。
2020年のコロナショックでは資産が減っていますが、順調に右肩上がりの成長となっている様子が分かります。
これらの戦略はVXXやVXZと言ったETF(ETN)商品をダイレクトに扱えれば取引できるのですが、現在国内証券会社ではVIX系ETF(ETN)を扱えないので、他の商品で代用する必要があります。
そこで利用するのがVIXオプションです。
VIXオプションを使うことで、VXX-VXZペアトレードと同じ効果を見込めつつ、オプションの損失限定性を利用してより安全なトレードができる可能性があります。
また、カレンダースプレッドについても、VIX先物ではなく、VIXオプションで組成することで万が一のVIXの急騰に備えることができます。
②決算戦略
決算戦略とは、米国株オプションを使って、個別銘柄の決算における偏りを活用して取り組む戦略です。
過去12回の決算の結果を基に分析すると、10~12回全て上昇している銘柄や、逆に毎回下落している銘柄など、明らかに偏っている結果を示す銘柄があります。
そのような偏りを利益に変えるため、決算時にオプション戦略を使うことで小資金で且つエッジを取り出そうという考えです。
具体的にはブルスプレッド、ベアスプレッド、アイアンコンドル、アイアンバタフライ、ロングストラドル、カレンダースプレッドにおいて、決算結果の偏りを利用して機械的にエントリー&クローズして回転させ、大数の法則によりトータルで利益を狙う方法です。
私は「決算戦略アドバンス」という教材で投資助言を行い銘柄とタイミングをアドバイスしています。
下図が2023年7月から記録している決算戦略の単月の損益と累積リターンです。
③決算ボラティリティ戦略
②で取り上げた戦略とは別に、決算を通過すると毎回ボラティリティが低下する銘柄があります。
よって低下するボラティリティから利益を出すことを検討して実践することも有効です。
また、ボラティリティが低下するということは、その決算に向けてボラティリティが徐々に上がっていく性質があります。
下図はULTAという銘柄のインプライドボラティリティの推移です。
「E」のマークは決算日を示しており、インプライドボラティリティはEに向かって上昇し、Eの決算日通過後にストンと下がる様子が分かります。
このように、株価の上げ下げではなく、ボラティリティの上昇・下落を利益に変える戦略をとることで、コア資産のヘッジをすることが可能です。
④日経225オプションボラティリティ戦略
証券会社が分かれてしまいますが、日経225オプションを使ったボラティリティ戦略も有効です。
もともと日経225オプションは期近と翌限月の流動性があるので、短期勝負には向いています。
その中でも、ボラティリティトレードと言って、③のようにボラティリティが上昇・下落することを予想し、相場の方向感ではなくボラティリティの変動を予想して戦う戦略があります。
このような短期でボラティリティ的に優位性があるタイミングを計ってエントリーすることも有効です。
⑤配当キャプチャー戦略
米国株は年4回の配当があり、配当を出すと「配当落ち」と言って株価が下がります。
その株価が下がる現象は配当を出している銘柄ならどれでも同じですが、銘柄によっては配当落ちから元の価格に戻るまでのリカバリー期間が短い銘柄もあります。
こちらの図はコカ・コーラ社のリカバリー期間を示しており、約8.6日で株価が回復するデータがあります。
<dividend.comより抜粋>
このような銘柄を使って配当を効率よく得ていく戦略があります。
また、配当落ちのリカバリー日数による配当キャプチャーの他に、ターゲットバイイングとカバードコールを使って、配当が近い銘柄にターゲットバイイングを使い、目標株価まで下がらなければそのプレミアムを貰う。
もし目標株価まで下がったら株を買うことになるので、配当を得つつカバードコールを使ってプレミアムを貰う。
このように短期間でカバードコールとターゲットバイイングを使ってリターンを得ていく方法もあります。
コア資産のヘッジになるサテライト戦略4選
では、前述した資金を圧縮した後にお勧めな方法からさらに発展して、コア資産のヘッジになるようなサテライト戦略を考えてみましょう。
⑥VIXタームストラクチャー戦略の利益をVIXコール買いへ振り分ける戦略
前述の①で解説したVIXタームストラクチャー戦略を応用し、そこで得た利益の半分を使い、VIXコールオプションを買うというアイデアがあります。
VIXコールオプションの買いによる市場暴落時のヘッジを主として、VIXタームストラクチャー戦略はその原資を稼ぐために使うと割り切る考え方です。
コア資産がS&P500に連動していれば、S&P500のドローダウン時に合わせて下落してしまうはずです。
その時にVIXコールオプションを買っておけば、充分ヘッジの役割を果たしてくれます。
⑦決算ボラティリティ戦略
③で挙げた決算ボラティリティ戦略について、ここではボラティリティの上昇を狙う方法を提案します。
決算前にボラティリティが上がる局面で、ボラティリティが上がると利益を生む戦略を使うことで、セータでは負けてもボラティリティの上昇によるベガからの利益を狙う目論見です。
下図はZSの決算発表直前のオプションボラティリティを示しています。
2週間ほど前の2月15日はインプライドボラティリティがおよそ80ポイント程度でしたが、決算日直前の2月29日には250ポイント近くまで上昇していることが分かります。
この戦略の弱点は相場が動かずタイムディケイで損失を被ることですが、ボラティリティの上昇が強ければトータルの損益は非常に小さいものとなる可能性があります。
⑧決算戦略(ベアスプレッド)
②の決算戦略の中でも、ベアスプレッドだけを採用して短期で回転する方法です。
決算戦略では銘柄の偏りによってベアスプレッドの勝率が高い銘柄があります。
その銘柄を中心にトレードすることで、市場が右肩上がりに上昇している際にも個別株の偏りによってベアスプレッドで利益を出せる可能性がありつつ、市場がクラッシュした際にはベアスプレッドがきちんと機能して利益を出してくれる。
このような市場クラッシュ時に利益が出るような戦略を組み合わせてポートフォリオを組むことも検討する余地があります。
⑨日経225オプションボラティリティ戦略の一部でプットを買う戦略
最後は、日経225オプションのボラティリティ戦略によって得た資金の一部でプットを買う方法です。
この場合は「くずプット」と呼ばれる金額の安いプットを大量に買っておけば、市場のクラッシュ時にこのプットが大きく利益を出してポートフォリオ全体のドローダウンを防いでくれる効果があります。
参考までに大きな事件や出来事があったときのプットの値段は、このように1円が数百倍~千倍近くに膨らんだこともあります。
まとめ
アイアンカバコとレバポを使った後にリザーブした資金を有効活用するために検討したいサテライト戦略を9パターン掲載しました。
どれも単体でも利益を狙えますが、コア戦略と組み合わせることで、コア戦略の邪魔をせずポートフォリオ全体で利益を出しつつ、市場のクラッシュの時にも大きな利益を見込めるのではないでしょうか。
もしこれらの戦略に興味が湧いたけど
「たくさんありすぎてどれから学べばいいのか分からない」
「最初に学ぶべき項目を教えて欲しい」
「自分に出来るのか不安だ」
という方向けに、最もお勧めなのはVIXオプションを使った戦略です。
オプショントレード普及協会では有料のセミナーを開催しますのでぜひ参加をご検討ください。
なお、アイアンカバコ戦略についてはこちらをご覧ください。